漢方ではカラダ全体のコンディションを整えることで、男性が本来もっている妊娠させる力をより引き出せることができると考えられています。普段から不規則な食事や生活習慣を続けているとカラダのバランスが乱れ、気づかない内に妊娠させる力が低下している場合があります。
男性の妊娠率を低下させる要因として、精子の数が少ない、奇形率が高い、運動率が低いなどがあります。一部の無精子症などの問題を抱える方以外は、生活スタイルの見直しや漢方薬の服用で回復が期待できます。
まずは、日常生活を見直し本来の妊娠させる力を取り戻しましょう。
漢方では、精液と精子の関係は、川と魚によくたとえられます。魚が元気に泳ぐためには、川に清らかな水がたっぷり流れていることが大切です。水と魚、つまり精液と精子のバランスが重要になります。
養生法
◎ 食事
バランスのとれた食事が大前提。肉ばかりではなく、野菜や魚もとりましょう。男性の性機能を高める食品としてはにらやカボチャなどがあります。また、種は精力を強くすると言われているので松の実やクルミなどのナッツ類がオススメです。
◎ 睡眠
必要な睡眠時間は個人差があるので、何時間寝なければならないということはありませんが、朝すっきりと起きられるかが基準になります。精子の状態は体調に左右されてしまいます。睡眠不足で疲れがとれないのでは精子の元気もありません。
◎ お風呂
精子を元気に保つためには、精巣部分の温度を低く保つことが大切です。熱いお風呂やサウナに長時間入ると精子の質の低下を招きます。お風呂の温度を38℃くらいのぬるめの温度でできるだけ短い時間にしましょう。
◎ お酒やタバコ
タバコは精子の奇形率、運動率の低下、数の減少に影響を与えます。お酒は百薬の長とも言われていますが、飲み過ぎはいけません。どちらも精子の質に悪影響があるため控えましょう。
◎ 下半身の締め付け
きつい下着やジーンズでの締め付け、乗馬、サイクリングなどの陰部への圧迫は精子の劣化を招きます。蒸れて温度があがってしまうのもよくないため、とくに夏はトランクスにしてできるだけ風通しよくしておきましょう。
◎ 性生活
禁欲をして精子をためておくことはよくありません。時間が経つほど元気のない精子がたまっていってしまいます。2〜3日おきくらいに出しておくと新しい精子がどんどんと作られ、活性化されるので妊娠しやすくなります。排卵日に限らず、普段から仲良く夫婦生活をもちましょう。
川に栄養が不足し、冷たい水なので魚の数は少なく、元気もよくありません。
精子の数が少ない、精子の運動率が低い、性欲がわかない、EDぎみである
生殖能力をつかさどる腎の働きが低下しているためカラダ全体のパワーが低下しています。このタイプの方は疲れやすく少し無理をするとすぐに体調をくずします。いつも元気がなく、精子を作るパワー不足のため性欲も低下ぎみに。ED(勃起障害)の場合もあります。
パワー不足のためカラダが冷えています。冷たい食べ物や飲み物は避けて充分な睡眠をとることが大切です。
オススメのツボ
気海
おへそから指2本分下の下腹にあります。生殖機能を高めるツボです。ここを押してもあまり気持ちよいと感じられないときは、温めたりマッサージするだけでも効果的です。
漢方薬
腎のパワー不足には鹿茸や海馬(タツノオトシゴ)などの動物性生薬と朝鮮人参などの植物性生薬の配合された漢方薬で生殖機能の回復をします。
温度が高いため川の水が少なく、川の幅も狭いため魚同士がぶつかりあっている状態。栄養や酸素が充分に行き渡りにくくなっています。
精子の奇形率が高い、性欲は旺盛、早漏ぎみ、精液の量が少ない
ストレスやタバコ、お酒などの飲み過ぎでカラダに熱がたまり、カラダに必要なうるおいが不足していることが考えられます。そのため精液の水分がすくなく精子がスムーズに動けなくなっています。混み合っているため精子の奇形率も高くなる傾向に。このタイプの方は生活習慣が乱れると、余分な熱がどんどんとたまってしまうためさらに精子の質が低下してしまいます。
タバコやお酒は控えて、ストレスをためこまないようにし、辛いものや刺激物、熱い風呂もやめておきましょう。
オススメのツボ
腎兪
第二腰椎の横から指2本分外側にあります。ウエストに手をあて、親指があたるあたりです。気がついたときに押してみてください。
漢方薬
ほてりやのぼせが強い場合は地黄という生薬を使用します。カラダのうるおいを補い、気持ちを落ち着かせる効果もあるためぐっすりと眠れることも期待できます。
川にゴミや油がたまっているため、流れがよどんでいる状態です。水が流れにくく魚が元気に泳げません。
古い精子がたまっている、白血球数が多い、精液が濁っている、精子の通路に障害がある
ストレスや運動不足で血行や代謝が悪く、血糖値や中性脂肪の値が高いと指摘される方が多いです。また精索静脈瘤の場合もあり、精子を作り出す働きが悪くなっている場合もあります。さらに泌尿器部分の炎症がある場合は精液中に白血球がたくさんあるため精子が活発に動くことができない状態です。
ウォーキングなどの有酸素運動などで、まめにカラダを動かし、脂っこいものやめてあっさり系の魚や野菜をとりましょう。
オススメのツボ
三陰交
足の内くるぶしの頂点から指4本分上にあります。気の巡りをよくして、内蔵の働きを改善するツボです。気持ちのよい強さでゆっくりと押しましょう。
漢方薬
血行が悪く、頭痛や肩こり、めまいのときに使用する丹参という生薬を使用します。ストレスやイライラを取りのぞく効果も期待できます