女性特有のお悩み、解決するのは「女性ホルモン」
そもそも私たちは、上の図のように女性ホルモンをはじめとする「ホルモン」、感染症や病気から体を守る「免疫」、睡眠や体温、消化機能などを調節している「自律神経」の3つが互いに調整しあいながら健康な体を支えています。3つのうちどれかひとつでもバランスを崩すと、ほかの2つにも影響します。つまり、ホルモンバランスが崩れると風邪をひきやすくなったり、睡眠の質がおちで疲れがとれにくくなったり、便秘や下痢などの症状があらわれさまざまな不調を呼び込んでしまうというわけです。
しかし、逆に考えるとホルモンバランスを整えるように意識することで、知らず知らずのうちに免疫力も自律神経のバランスも整い、ますます健康でキレイになれると言うことです。
では、女性ホルモンについてお勉強しましょう。
女性ホルモンは2種類の脳からの指令ホルモンと2種類の卵巣からのホルモンがあります。今回は卵巣からの2種類のホルモンに注目していきます。
1つ目は、美のホルモンともいわれる「エストロゲン」(卵胞ホルモン)です。生理始まりから分泌が徐々に増え、排卵に向けて子宮内膜を分厚くします。排卵後は分泌量が下がり、入れ替わりに2つ目の母のホルモンといわれる「プロゲステロン」(黄体ホルモン)の分泌が高くなります。プロゲステロンは子宮内膜を受精卵が着床しやすいようにフカフカにしたり、受精卵は育つように体温をあげる働きをします。このように、2種類のホルモンは生理の周期とともに変動して女性のリズムを作っています。
エストロゲンの働き
・ 排卵に向けて子宮内膜を厚くする
・ バストを豊かにし、女性らしい体をつくる
・ 肌や髪の新陳代謝を促す
・ 骨にカルシウムを蓄える
・ 悪玉コレステロールの増加を抑える
・ 神経伝達物質のセロトニンの働きを高めて、精神を安定させる
・ 過剰になると乳がんや子宮がんのリスクを高める
プロゲステロンの働き
・ 子宮内膜に受精卵が着床しやすいように準備を整える
・ 体温をあげる
・ 妊娠した時は大量に分泌され、妊娠を維持させる
・ 子宮の収縮をおさえるため腸の動きもおさえてしまい、便秘傾向に
・ 皮脂の分泌量を増やすため、ニキビの原因になる
・ 体内の血流量を増やすため水分代謝を抑制する。むくみや胸のはりの原因に
・ エストロゲンが過剰にならないように防ぐ
妊娠中のホルモン
妊娠が成立すると2つの女性ホルモンはともに分泌量を増します。エストロゲンは産後の授乳に備えて乳腺を発達させ、プロゲステロンは子宮の状態を安定させ、受精卵の成長を促します。
更年期のホルモン
日本人女性の閉経年齢は50〜51歳で、この前後10年間を「更年期」といいます。閉経が近づくにつれて卵巣の機能は落ちていき、エストロゲンやプロゲステロンの分泌量は減っていきます。しかし脳はこれを危機と感じ「もっと女性ホルモンをだせ」と指令を送り続けます。この指令であるホルモンが性腺刺激ホルモンとよばれ、その量は若いときの10倍量になります。この急激な変動に体はパニック状態になり、それがいろいろな不調としてあらわれるのです。それが「更年期障害」ということです。症状としては、のぼせや発汗、頭痛、頻尿、倦怠感など。さらにイライラやうつ状態など精神症状も現れやすくなります。ただし症状の強さは人それぞれです。その差は何かというと、ホルモンの変化が急激な人ほど症状がつらくでるようです。普段からホルモンバランスを意識している方は、穏やかに減少していくため更年期の症状も軽くすみます。
今よりもっとキレイになりたい!赤ちゃんがほしい!生理前のイライラや便秘をなんとかしたい!更年期が心配・・・そんな女性の悩みの解決法は「女性ホルモン」を整えることなのです。
まずは、あなたのホルモンバランスを4つの項目にわけてチェックしてみましょう。
生活習慣編
- 運動が苦手でほとんどしない
- 深夜1時以降に寝ることが多い
- 睡眠時間が5時間以下
- 入浴はほとんどシャワーですませる
- スマホやパソコン、TVを寝る間際まで見ている
- タバコを吸う
- 仕事が忙しく残業が多い、あるいは夜勤がある
- ミニスカートや5cm以上ハイヒールが好き
- 疲れがなかなか抜けない
食事編
- 朝食をほとんどとらない
- 野菜はサラダやジュースでとる
- お魚よりお肉をよく食べる
- コンビニ弁当や菓子パンをよく食べる
- みそ汁や納豆など発酵食品をあまり食べない
- ジュースや炭酸飲料、缶コーヒーなど甘い飲み物をよく飲む
- カロリーオフのダイエット食が多い
- ヨーグルトを毎日食べる
- 夜にコーヒーや紅茶などカフェインをとる
- 全く食べない、偏った食事などの極端なダイエットをしている
メンタル編
- イライラして身近な人に八つ当たりをすることがある
- 几帳面で「まあいいか」と思えない
- 神経質なほう
- 生理前に落ち込んだり、ふさぎ込むことがある
- 競争が激しい職場、あるいは環境でつねに勝ち負けを意識している
- 納期や締め切りなど時間に追われる仕事をしている
- 家庭生活や仕事などの悩みを抱え込んでいる
- トラブルがあると自分を責めてしまう
- 夜中におきてしまったり、早朝に目がさめるなど睡眠トラブルがある
- 休日でも仕事のことを考えてしまう
体調編
- 無性に甘い物がたべたくなる
- 手足の冷えが強く、体温が36℃以下
- ここ数年で体重が5kg以上増えた
- アゴや肩、背中にニキビができる
- すぐに疲れるし、なかなか疲れがとれなくなった
- 生理の出血量が減った
- 生理周期が伸びたり、短くなったりと不規則になってきた
- 妊娠を望んでもなかなか妊娠しない
- 繰り返しカンジダ膣炎になる
- 最近、性欲が減退している
いかがでしたか?
当てはまるものが少ない方が良い状態です。全部の合計が31項目以上ある方は要注意です。すでに体はギリギリの状態まできています。すぐに生活を見直し、ケアを始めましょう。婦人科への受診も考えて。
今回はここまで。
Part2では、女性ホルモンのウソ、ホント!?と女性ホルモンを整えるための生理周期ごとの過ごし方をご紹介します。