出すぎる鼻水は、やっかいなものですが、鼻水には、鼻粘膜にちょうど良い潤いを与え粘膜の保護をし、体内に侵入しようとする花粉やウイルスなどの外敵を包み込んで外へ出すバリア機能があります。鼻水の量が増えてきたときは、外敵との戦いが始まった合図なのです。花粉が多く飛び出す季節は鼻の粘膜は特に集中攻撃を受けるため、くしゃみ・鼻水などの症状が悪化しやすく、長引いてしまいます。
漢方では、鼻がグズグズしている時は外敵「邪気」を追い出す大切な身体の働きと考えます。ですからむやみに止めることはせず、その時の症状と体質にあわせた方法で防御力高めできるだけ早く回復できるようにします。
鼻水がぐずぐずしはじめてからそのまま放っておくと黄色い鼻水に悪化していきます。
その期間を急性期➡亜急性期➡慢性期に分けそれぞれの対処法をご紹介します。
急性期:みずみずしい透き通った鼻水
鼻をかんでも絶えず出てくることが多く、外敵と戦いが始まったばかりの初期症状です。
この症状がでたらまずは、体を温めることが大事。体を温めると免疫細胞が元気になり外敵と戦う体制が整います。まずは冷えの入り込みやすい首(手首、足首も)まわりを温めます。さらに食べることでも体を温める事ができます。代表的なところではにんにくや生姜、唐辛子、コショウなど。特に生姜は生のものより干したもの方が体を温める作用が高まります。風通しの良いところで数日間干してから使用してみましょう。
鼻水が出始める時は寝不足や疲れがたまっている場合が多いので、しっかり睡眠をとることも大事です。
ツボ:迎香(げいこう)・睛明(せいめい)
小鼻のでっぱりのすぐ横、くぼんだ部分が迎香、鼻のつけ根と目頭の間のくぼんだ部分が睛明。迎香から睛明にむけて軽く押しながら移動します。鼻水や鼻づまりが楽になります。
亜急性期:白く濁っている鼻水
鼻をかんだときのキレが悪く、鼻水がのどへ落ちていく感じがします。この症状が長期化すると鼻水の粘りが増し、かたまりもできるかも。炎症が長く続き、熱がこもるため鼻水の粘りが強くなり外敵を追い出す力が弱っている証拠。まずは炎症を鎮め、解毒機能を高めることが大事。食べ物では、春菊やセロリ、しそ、ミントがお勧め。
簡単ミントティーの作り方。ミントの葉と青じそをちぎりポットに入れお湯をそそぐだけです。ミントのすーっとした香りは鼻づまりの改善を、青じそが炎症による熱をとり、解毒力を高めます。
そして炎症を早くひかせるためには、糖質と油は控えましょう。特に油は熱を助長させ、糖質は免疫細胞の動きを弱くしてしまいます。初期には有効だった唐辛子やコショウなどの刺激物は、鼻水の粘りを強くするためこの時期はやめておきましょう。
ツボ:人中(じんちゅう)
鼻と唇の間の溝の真ん中にある人中は鼻にたまった熱をとります。また「気つけのつぼ」でもあるため、鼻づまりでぼんやりした気分もすっきりできます。
慢性期:黄色いドロッとした鼻水
鼻をかんでもすぐに鼻がつまり、匂いがわからなくなることも。かなり慢性化しています。鼻水自体の匂いが強くなることもあります。
アレルギーが慢性化して外敵であるウイルスや菌が粘膜の内側まで入り込んでいます。そのまま放っておくと副鼻腔炎になることも。炎症による熱を抑え、体の免疫力を高めることが大事。ここまでくるとかなり体力を消耗してしまっているため、十分な休息が必要です。
長引いた炎症による熱を治めるには、ウリ科であるキュウリやズッキーニ、ゴーヤなどの食物がお勧め。またレンコンは粘膜に潤いを与えるので花粉時期の強い味方です。黄色い鼻水が続く時は、免疫や解毒力を高める漢方の出番となります。
ツボ:印堂(いんどう)
眉間の間にある印堂から眉頭までを指でかるく押しながら移動していきます。鼻のつまりが楽になります。
何事も早めの対処が肝心です。
鼻水がグズグしだしたら体を温める、早く寝るようにして鼻水が黄色くなるまえに治してしまいましょう。
花粉症を持っている方は、予防も大事!!!
実はスギ花粉は、真夏の暑いとき以外は年中飛んでいることをご存知ですか?2月中旬からの飛散量が増える期間のみのケアではいけません。普段からしっかりと免疫力を正しておくことが花粉症状を軽くするポイントになります。気になる方はお気軽にご相談を。