この時期、自律神経のみだれによる便秘の相談が多いので、今回は便秘について取り上げます。
便秘とは、便が何日も出なかったり、たとえ出ても残便感のあるような状態をいいます。「いつものことだから」「よくあることみたいだし」なんてそのままにしていませんか?本来排泄されるはずの便が出ないということは、老廃物が体内にとどまっている状態。単にお腹がぽっこりするだけではなく、ニキビや肌荒れ、免疫力の低下などさまざまな不調の原因になります。特に女性は便秘になりやすい体です。女性は妊娠・出産という役割があるため骨盤が大きくスペースにゆとりがあります。多少便を滞留させても男性より苦しくないのです。さらに女性ホルモンは大腸の動きを止める作用があります。大腸も子宮も筋肉でできているため、子宮をリラックスさせるホルモンは、腸の筋肉もゆるませて便秘が起こりやすくなります。
だからといって便秘を放っておくとやがて骨盤内の血流が悪くなっていきます。妊活中の方は特に注意。骨盤内の血行不良は、ホルモンバランスや卵子の成長、子宮内膜の成熟に悪影響をおよぼします。
頭痛や耳鳴り、むくみ、アレルギー症状など今あなたが悩んでいる不調も、実は便秘と関係があるかもしれません。
毎日快便になればつるつるのお肌、スリムなお腹、風邪知らずの元気な体、生理の不調解消など、健やかできれいな女性に変身。早速できることからはじめましょう。
まずは、便について・・・
うんち≠食べ物のカス
便は食べ物のカスだけでできていると思われがちですが、そうではありません。便中には食べ物のカス以外にもはがれた腸の粘膜や腸内細菌も含まれます。腸の粘膜は1〜2日に1回というすごい早さで生まれ変わり、古い細胞は便の一部になります。腸内細菌も生きているものも死骸も含め大量に便とともに排泄されます。
ちなみに便の70〜80%は水分です。便が長い時間腸内に滞留すると、腸が便の水分を再吸収してしまいます。そして便の水分が70%を切ると固い便になってしまいます。
色は?
便の色は胆汁の色素によるものです。それが腸内細菌によって酸化され黄緑色が茶色に変化します。食べたものや腸内の滞留時間によっても色は変わりますが、茶色〜やまぶき色の便が理想的です。
量は?
1日量として50cmの便が理想です。バナナ3本分にあたります。食事がお肉ばかりの方は便の量は少なくなります。
固さは?
ちょうどバナナくらい〜もう少し柔らかくでもOK。水に浮く便が理想、便秘の方は比重が大きくなるためすぐに沈んでしまいます。
においは?
腸内の悪玉菌の数が多いほど、きつくなります。食べたものにもよりますが、動物性のたんぱく質ばかりだと悪臭が発生しやすくなります。
・ お腹ぽっこり
便が排泄されず腸内にとどまっているため当然お腹ははってきます。腹部の不快感だけではなく、腸が胃を押し上げて食欲不振や吐き気などもおこします。
・ 口臭
老廃物が腸内に長くとどまることで腐敗が進み、ガスが発生。それが口臭の原因と考えられています。さらに進むと腸内ガスが血液に溶け込み体全体に回ると体臭もきつくなります。かなり重症のケースです。
・ 肌荒れ
老廃物を便として排泄できない状況が続くと第2の排泄器官の皮膚から排泄しようとします。するとニキビが増えてきたりということも。さらに腸で吸収されるはずのビタミンがたまっている便に邪魔されて取り込まれにくくなり肌荒れがおきやすくなります。
・ 免疫力の低下
免疫細胞のほとんどは腸に集まっています。便秘によって腸内環境が悪化すると免疫細胞を弱らせてしまうことに。ウイルスや病原体からの守りが弱くなるため風邪をひきやすいとか、なかなか風邪が治らないといったことになります。さらにアレルギーやアトピーの症状とも関連してきます。
・ 痔
長い期間腸内にとどまった便は水分がどんどん腸に吸収されるためカチカチ便状態に。そのため排便の際に肛門を傷つけ、切れ痔になることがあります。さらに硬い便は排泄しづらく、いきむ回数や時間が増えるため肛門がうっ血しいぼ痔にもなりやすいのです。痔が悪化し痛みや出血を伴うようになると排便自体が怖くなりさらに便秘が悪化するという悪循環になることもあります。
ここからは・・・
手軽にできる便秘解消のための3つのポイントを紹介!
1、 食事
スムーズな排便のためには、腸内環境を整え適度な柔らかさとかさのある便を目指します。
食物繊維には便を適度な柔らかさにする「水溶性食物繊維」と便のかさを増やす「不溶性食物繊維」の2種類があります。両方をバランスよくとることが大切です。水溶性はこんにゃく、海藻類、果物にふくまれ、不溶性食物繊維はキノコ類、根菜、玄米などに含まれます。
2、 運動
腸のぜん動運動を高める運動をしましょう。
まずうつ伏せに寝転がり、かかとで軽くお尻をたたく運動を20回。次に左右にゴロゴロと転がる運動を10回。
そして仰向けになって両手を頭の後ろで組み、少し体をおこしておへそを覗き込む運動を5〜10回。首だけが動かないように気をつけましょう。
朝、目が覚めたらお布団の中でできる運動です。朝は一番便意がおきやすいので、軽く腸に刺激を与えぜんどう運動を促しましょう。ご来店いただければ、一緒に運動方法をやってみましょう。
3、 ストレス解消
腸の動きとストレスは大きく関わりがあります。ストレスは体を戦闘モードにしてしまいます。すると「トイレにいっている場合じゃない」と判断し、腸の動きを悪くし便意を起こさないようにします。
さらに朝はバタバタして忙しくトイレに行く暇がないとか、外出先では人目が気になって落ち着いてできないなど、排便のタイミングがとれないことが便秘のきっかけになっています。朝は少しだけ早起きをしてトイレタイムを確保、外出先ではすいているトイレや、きれいで落ち着けるトイレを見つけておくと安心できます。
近年、腸のすごい働きがわかってきました。脳で作用するセロトニンやアセチルコリンなどの神経伝達物質は脳で作られているのはなく、腸で作られていることが明らかになりました。実際腸には脳の数倍の神経伝達物質がストックされています。腸の働きを改善すれば脳の働きも改善できるということです。朝の排便で腸も頭もすっきりスタートしたいものですね。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
便秘をそのまま放っておいて頑固な便秘になってしまっている人は、セルフケアだけではなかなか改善が難しいでしょう。そんな時は漢方の出番。便秘の原因が腸のぜん動運動や水分の再吸収の異常で起こる機能性の場合は漢方がよく合います。不規則な食生活や加齢で腸が弱って動きが鈍くなっているとか、ストレスが続いて腸が痙攣を起こしている場合は腸全体の機能を整える方法がおすすめです。