今年も飛騨に棗の季節がやってきました。
庭先で実った棗を祖母が摘み、甘く煮て甘露煮にするーそんな棗を囲む家族の風景が、かつての飛騨にはありました。
自然の恵みを暮らしに取り入れてきた知恵は、今もその小さな赤い実の中に息づいています。9月に開催された「全国薬草フェスin飛騨」では、飛騨の棗を使った「棗の薬膳茶」の試飲・販売を行いました。
棗のやさしい甘みや香りに「懐かしい味がする」というお声をたくさんいただき、世代を超えて親しまれてきた味には、心をほっと和ませる力があるとあらためて感じました。
漢方では、乾燥させた棗を「大棗(たいそう)」と呼び、「気」を補い、胃腸をいたわる生薬として用いてきました。
疲れや食欲の低下を感じるときの養生に使われる他、生薬同士の調和を助ける役割もあり、葛根湯をはじめ、さまざまな漢方処方に配合されています。
さらに栄養面も食物繊維やカルシウム、カリウム、鉄、亜鉛などを含み、毎日の食生活に取り入れたい魅力があります。
仕事や家事、子育てに追われ、「なんとなく疲れる」と感じても自分のことはつい後回しになりがちです。そんな日には温かい棗のお茶をゆっくり味わい、自分をいたわるひとときを。
棗には、飛騨の豊かな自然とそこに暮らす人々の知恵、そして家族を思う温かな時間が詰まっています。
この秋、自分に、そして大切な誰かに。棗が運ぶやさしい時間を贈ってみませんか?
月間さるぼぼ p40掲載


















